「ナラ枯れ」について
近年、ナラ類やシイ・カシ類の木が枯れる「ナラ枯れ」という被害が拡大しています。林業を生業としている当社において、「ナラ枯れ」の現状、今後の課題等について、まとめてみました。
1. ナラ枯れとは
・カシノナガクイムシ(以下「カシナガ」という)という昆虫が、「ナラ菌」という病原菌を木の中に運び込むことによって引き起こされる樹木の伝染病です。感染すると、葉が茶色に変色し、枯死に至ります。木の中で成長、羽化した新成虫は、健全な木に飛来し、被害が拡大していきます。紅葉時期でない、茶褐色の樹木は、伝染している可能性があります。
2. ナラ枯れの危険性について
・枯死木が発した場合、落枝や倒木の危険性があり、通行人や家屋への被害だけでなく、送電線や道路への被害の発生事例もあります。山間部においては、大雨発生時の土砂崩れ等が心配されます。どんぐりの生育する種類への伝染病であり、食べ物不足で人里に熊が出没する要因のひとつになっているかもしれません。
3. ナラ枯れ被害状況について
・全国的には、平成12年頃より、被害が拡大傾向になり、平成22年度に、被害量がピークとなり、その後減少傾向にとなったものの、平成27年度以降、拡大傾向となっています。青森県も同様の傾向であるが、令和6年度においては、前年の2.5倍の61,362本の被害が確認されております。被害地域においても、8市町村から13市町村が増となる21市町村となっており、今年度においても、八戸市を含む計5市町村で新たな被害が確認されている状況です。
| 青森県内被害発生状況(青森県ホームページより) | 単位:本 | |||
| シーズン | 民有林 | 国有林 | 合計 | |
| 林野庁管轄 | 林野庁管轄外 | |||
| 平成28年度 | 23 | 62 | 0 | 85 |
| 平成29年度 | 354 | 1,677 | 0 | 2,031 |
| 平成30年度 | 1,301 | 1,108 | 0 | 2,409 |
| 令和1年度 | 8,710 | 5,469 | 0 | 14,179 |
| 令和2年度 | 27,861 | 14,607 | 6 | 42,474 |
| 令和3年度 | 11,160 | 11,995 | 6 | 23,161 |
| 令和4年度 | 9,830 | 12,832 | 0 | 22,662 |
| 令和5年度 | 10,374 | 14,245 | 0 | 24,619 |
| 令和6年度 | 27,530 | 33,832 | 0 | 61,362 |
4. 青森県のナラ枯れ被害対策について
・ナラ枯れとは、「カシナガ」という媒介昆虫の移動に伴い被害が拡大するため、早急な被害木の駆除が必要であります。駆除については、単純に被害木を伐採すればよいということではなく、「カシナガ」の生態に伴う伐採時期、伐採後の燻蒸処理等多額費用がかかる状況となっています。
・全国的に被害拡大している中、林野庁においては、令和6年度森林病害虫等被害拡大防止緊急対策として予算化し、同様に令和7年度森林病害虫等被害対策事業として予算化し、各県からの要望に対応する方針を示している。他都道府県においては、なら枯れ対策補助金等を新設し、被害拡大防止を推進しています。青森県においては、伐採等の留意事項を示すのみで、費用については、森林保有者任せの状況にあり、令和6年度の被害拡大に繋がったといっても過言でないと思われます。
5. 今後の課題等について
・ナラ枯れによる枯死木増加により、落枝や倒木による人、モノへの被害、土砂崩れ等の災害増加が予想され、世界遺産に登録された白神山地への影響も懸念されます。
・9月29日の青森県議会の中で、県林政課は、被害市町村はまだ増える可能性があると発言しています。県では、10月28日に、今シーズンの調査結果を対策検討委員会に報告し、今後の駆除や予防など拡大防止策を検討するとしている。
・当社は、温暖化による気象異常の中、山を守り育てることで、水も海も豊かになり、災害被害を最小限に止め、「治山治水」を目指し、林業をスタートした経緯があります。山を大事にすることで、豊な水が守られ、農業、水産業が守られていくはずです。
枯死木した後、元に戻るまでには、何十年もの年月が必要です。人的な被害が発正した場合の責任問題もあります。民にのみ頼る県の対応については、お粗末なものとしか言えません。
県には、早急に今後の青森県をしっかりと見据えた対応を望んでおります。